第259章

 前田南はこの件がただ事ではないと察し、ラベルのない薬瓶と、母が使っていたコップを持って鑑定に向かった。

 病院。

 前田南は眼鏡をくいと上げ、マスクを着けて慎重に血液科へと歩を進めた。

 彼女はさりげない様子を装って尋ねる。

「ここでDNA鑑定はできますか?」

「もちろんできますよ!」看護師の女性はにこやかに頷いた。

 前田南は用心深く周囲を観察し、視界に不審な人物がいないことを確かめる。

 母の死に際の様子を思い出す。

 胸が張り裂けそうで、息もできない!

 彼女はかぶりを振った。「すみません、これを調べていただけますか」

「中のDNAとか、何か別のものがないか鑑定し...

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